共済年金。厚生年金との一元化でどうなる?

                 

執筆:保険マンモス編集部/更新:2015年10月21日

共済年金と厚生年金

2015年10月から共済年金が厚生年金に統一されました。これにより公務員や私立学校の教職員の方は年金制度が今後変わってきます。
※会社員の方や自営業の方は変更はありません

まずは職種による公的年金制度の違いについて、おさらいしましょう。

日本ではすべての人が基礎年金として国民年金に加入しています。そして会社員の場合は国民年金の上乗せとして厚生年金があり、2015年9月までは公務員には共済年金がありました。

会社員と公務員の年金比較

この共済年金と厚生年金は、基礎年金の上乗せ部分という意味では同様の制度といえますが、その内容はいくつか違いがありました。それがこの2015年10月から厚生年金に一元化され、2階建て部分として内容も共通化されることになりました。

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なぜ一元化される?

国家公務員共済組合連合会が組合員向けに発行しているリーフレットには以下のような記述があります。

「今後の少子・高齢化の一層の進展等に備え、年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに、民間サラリーマンや公務員を通じ、同じ保険料を負担し、同じ年金給付を受けるという年金制度の公平性を確保することにより、公的年金に対する国民の信頼を高めるため、被用者年金制度の一元化を行うこととなりました。」

このように、一元化の理由として、まずは公務員等と会社員の年金制度を原則統一して公平にするということがあります。

そしてもう1つは、「年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高める」という部分です。共済年金には国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合・私立学校教職員共済の3種類があります。

これに厚生年金も含め、2階建て部分の年金運用体が複数存在していると、将来どこかの財政が悪化して継続が困難になるおそれがあります。そのため、一つにまとめて規模を拡大し、トータルで安定した運営ができるようにしようということのようです。

一元化されるとどうなる?

それでは、これまで共済年金だった人が厚生年金に変わるとどんな違いがあるのでしょうか?

基本的には共済年金と厚生年金との間にあった制度上の差がなくなり、厚生年金の制度に合わせられることになります。

①被保険者の年齢制限
共済年金(私学共済は除く)は被保険者の年齢制限はありませんでしたが、70歳までとなります。

②未支給年金の給付範囲
年金の受給権者が死亡した場合に、その受給権者が受けることができた給付で未払いのものが遺族に支払われますが、その遺族の範囲が少し変わります。

③老齢給付の在職支給停止
老齢年金を受給している人が働いて一定の賃金を受けていると、年金の一部または全部が支給停止となりますが、その条件が変更となります。

④障害給付の支給要件
共済年金では保険料納付に関する要件はありませんでしたが、初診日の前々月までの加入期間について、保険料納付済期間および保険料免除期間の合計が3分の2以上必要となります。

⑤遺族年金の転給
共済年金では、遺族年金を受給していた人がその権利を失った場合、次の順位者が年金を受け取ることができる転給がありましたが、厚生年金にはそのような制度はありません。

⑥保険料の統一
共済年金の方が保険料率が低い状態でしたが、今後段階的に引き上げられ、公務員共済は平成30年、私立学校教職員共済は平成39年に厚生年金の保険料率に統一されます。

⑦職域加算の廃止
共済年金にあった職域加算(3階建て部分)が廃止されます。ただし平成27年9月以前に共済年金に加入していた人は加入期間に応じた職域加算を受けることができます。
また、職域加算に代わる3階建て年金として新たに「年金払い退職給付」という年金が創設されました。これは民間企業の企業年金にあたるもので1~2階部分の保険料とは別に労使折半で保険料を支払う積立方式の年金です。

共済年金が厚生年金に統一されたことで、主に上記のような変更点があります。ただし、これまでの期間に得た年金の権利等は原則失われることはありません。

今回の年金一元化は、被用者年金のしくみを統一して、公務員と会社員の格差を是正するということともに制度の安定化を図ることが目的となっています。ぜひ、その目的通り年金制度が安定的に機能するようにしてもらいたいものです。

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